パーキンソン病と似た病気の違いと初期症状
2025/07/06
「パーキンソン病かと思ったら、実は別の病気だった」
そんなケースが、年々増えていることをご存知ですか?
筋肉の動きの低下、ふるえや歩行障害といった症状が似ていることで、多系統萎縮症やレビー小体型認知症・進行性核上性麻痺など、見逃されがちな類似疾患の診断が遅れることは少なくありません。これらは指定難病に分類されるケースもあり、早期診断と適切な治療開始が、患者の生活の質(QOL)を大きく左右します。
「どの病院で診てもらえばいい?」「検査は何を受けるべき?」と迷っている方も、最後まで読むことで、自身や家族の判断材料がきっと見つかります。誤診や放置による進行リスクを避けるためにも、ぜひこの記事をご活用ください。
医療法人祐希会 嶋田クリニックは、地域密着型の内科クリニックです。パーキンソン病や認知症、頭痛といった疾患に対する専門的な診療をご提供し、患者様一人ひとりに寄り添った医療を心がけています。私たちは最新の医療技術と知識を駆使し、皆様の健康をサポートします。安心してご相談いただける環境を整え、地域の皆様の健康を第一に考えた医療をご提供しております。

| 医療法人祐希会 嶋田クリニック | |
|---|---|
| 住所 | 〒590-0141大阪府堺市南区桃山台2丁3番4号 ツインビル桃山2F |
| 電話 | 072-290-0777 |
目次
パーキンソン病に似た病気とは?診断が難しい理由と正しい理解の重要性
パーキンソン病は神経変性疾患の中でも特に診断が難しい病気の一つであり、その理由は他の複数の病気と症状が非常に似通っている点にあります。特に運動障害や認知機能の低下、自律神経のトラブルといった症状は、多系統萎縮症や進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症などの難病と重なる部分が多く、素人はもちろん医師でも初期段階では見分けがつきにくいことがあります。
運動障害は最も代表的な症状であり、例えば手足のふるえや筋肉のこわばり(固縮)、動作緩慢(無動)、歩行のバランスの悪化といった現象は多くの神経疾患に共通しています。これらは一見してパーキンソン病の特徴と一致するため、「パーキンソン病かもしれない」と判断されがちですが、他の疾患でも同様の運動症状が発生することがあり、誤診の要因となります。
さらに、レビー小体型認知症では、記憶力の低下に加えて幻視や注意力の波といった特徴的な症状が現れますが、初期にはパーキンソン病と区別がつかないケースもあります。また、進行性核上性麻痺では、感情のコントロールが難しくなるといった精神的な変化が目立つ一方で、歩行障害が先に出るケースもあるため、症状の現れ方には個人差が大きいことも判断を難しくさせます。
自律神経障害も重要な鑑別ポイントとなります。多系統萎縮症(MSA)では、排尿障害や起立性低血圧、便秘、発汗異常などの自律神経症状がパーキンソン病よりも早期に現れやすい傾向があります。自律神経障害は患者のQOL(生活の質)を著しく低下させるため、早期の気付きが求められますが、これらの症状は加齢による変化と誤解されがちでもあります。
以下の表は、主な類似疾患に見られる代表的な症状とパーキンソン病との重なりを整理したものです。
| 疾患名 | 主な共通症状 | 特徴的な症状 | 自律神経障害の有無 |
| パーキンソン病 | 筋固縮、無動、ふるえ | 薬(Lドパ)への反応が良好 | 軽度〜中度 |
| 進行性核上性麻痺(PSP) | 動作緩慢、歩行障害 | 垂直方向の眼球運動障害、転倒の頻発 | 軽度 |
| 多系統萎縮症(MSA) | 無動、固縮、歩行困難 | 小脳失調、自律神経症状の早期出現 | 明確にあり |
| レビー小体型認知症 | パーキンソン症状全般 | 幻視、認知の変動、REM睡眠行動障害 | 中等度 |
このように、似た症状が複数の疾患で現れるため、見た目や自覚症状だけでは判断がつきません。だからこそ、患者自身や家族が「これは年齢のせいではないか」「ただの老化では」と思い込まず、早い段階で神経内科や専門医の診察を受けることが重要です。見極めには画像検査(MRIなど)や血液検査、薬剤反応テストなどを総合的に使っていく必要があります。
誤診のリスクを減らすには、診察のたびに同じ医師にかかり続けることや、症状の変化を細かく記録して伝えることが有効です。加えて、専門の神経内科を持つ病院でのセカンドオピニオンも、診断の正確性を高めるための重要な手段となります。
早期対応の重要性
神経変性疾患は早期に適切な対応を取ることで、進行を遅らせたり、生活の質(QOL)を保つことが可能になるケースが多くあります。パーキンソン病やその類似疾患も例外ではありません。診断や治療が遅れることで、患者本人だけでなく家族の生活にも大きな影響を及ぼすことになります。
早期に対応することで得られる主なメリットは以下の通りです。
- 適切な診断による正しい治療の開始
- 自律神経障害や運動障害などへの対策を早く行える
- 介護保険や障害者手帳など、行政サービスの利用が可能になる
- リハビリや服薬指導を通じた症状の緩和
- 精神的な安心感と将来設計の明確化
特に進行性核上性麻痺や多系統萎縮症などは、進行速度がパーキンソン病よりも速いため、1年未満で歩行困難や構音障害、自律神経障害が顕著になる場合もあります。したがって、初期のサインに気づいた時点で受診し、正しい知識を持ったうえで医療機関と連携を図ることが必要です。
また、地域差はありますが、全国の多くの自治体で神経難病に対応する専門外来が設置されており、神経内科やリハビリ科との連携で総合的な診療が受けられる体制が整いつつあります。予約や紹介状の取得が必要な場合もあるため、家族と一緒に計画的な受診を考えることが推奨されます。
誤った情報や民間療法に惑わされず、正しい知識を身につけること。それが結果として、患者本人の未来を守り、家族や介護者の負担を軽減する最初の一歩となります。健康不安を感じた段階で受診する勇気が、予後を大きく左右するのです。
パーキンソン病と非常に似た病気!進行性核上性麻痺(PSP)
進行性核上性麻痺は、脳内の特定の部位に異常が生じることで、深刻な運動障害や認知機能障害を引き起こす神経変性疾患です。特に、黒質や脳幹部を中心に神経細胞の脱落や異常なタンパク質の蓄積が確認されており、その結果としてパーキンソン病と非常によく似た症状が現れる傾向があります。
黒質はドーパミンを生成する重要な領域であり、ここが障害されることで動作の緩慢さや筋肉の固縮といった運動障害が目立つようになります。
以下に、障害される脳の部位とそれに関連する主な症状を整理しました。
| 障害部位 | 関連する主な症状 |
| 黒質 | 動作の緩慢さ、固縮、姿勢異常 |
| 脳幹(中脳) | 垂直方向の眼球運動障害 |
| 小脳 | バランス障害、歩行困難 |
| 前頭葉 | 感情の平坦化、遂行機能障害 |
さらに、タウ蛋白の蓄積が進行することで自律神経系にも影響が及び、血圧変動、便秘、排尿障害といった症状が日常生活に大きな支障をもたらします。このように、進行性核上性麻痺は見た目こそパーキンソン病と類似していますが、実際の病態や進行メカニズムは異なります。したがって、正確な診断と早期の対応が重要となります。
転倒・眼球運動・反応の違い
進行性核上性麻痺とパーキンソン病は、初期症状が似ているため、臨床現場でも診断が難しいことがあります。しかしながら、症状の出現タイミングや種類に明確な違いがあるため、それを正しく理解することが重要です。
パーキンソン病では、一般的に一側の手足にふるえや固縮が見られ、徐々に症状が進行します。一方、進行性核上性麻痺では、初期から「前方への転倒」や「垂直方向の眼球運動障害」といった症状が顕著に現れます。この転倒は非常に無防備な形で起きやすく、骨折などの二次的なリスクを伴うことが多いです。
また、薬物治療の面でも違いが見られます。パーキンソン病では、Lドーパなどの薬剤が高い効果を示すのに対し、進行性核上性麻痺では薬剤の効果が薄く、改善が見られないことも少なくありません。
以下の表は、両疾患の主な相違点をまとめたものです。
| 比較項目 | 進行性核上性麻痺 | パーキンソン病 |
| 転倒 | 初期から頻繁に見られる | 中期以降に多く見られる |
| 眼球運動障害 | 垂直方向の眼球運動制限が特徴的 | 稀、または後期に軽度に見られる |
| 薬剤反応 | 効果が乏しい | Lドーパに対して良好な反応を示す |
| 姿勢異常 | 転倒を伴う突進歩行が特徴的 | 前屈姿勢や小刻み歩行が見られる |
| 認知機能の変化 | 比較的早期から認知機能の低下がみられる | 一部に限られ、進行とともに変化する傾向 |
正確な診断を行うためには、専門医による詳細な問診や神経学的検査に加え、MRIや眼球運動検査などの画像診断や機能検査も併用することが大切です。
パーキンソン病に似た病気を見分けるポイントとは?
自律神経症状(起立性低血圧・排尿障害・便秘)での見分け方
自律神経障害はパーキンソン病を含む多くの神経疾患で早期に現れる重要な症状です。特に起立性低血圧、排尿障害、便秘は、見逃されやすいながらも鑑別診断の大きな手がかりとなります。これらの症状は日常生活に大きな影響を与えるだけでなく、進行性核上性麻痺(PSP)や多系統萎縮症(MSA)など、パーキンソン病に類似した難病の初期指標ともなるため、早期発見と正確な判断が求められます。
まず、起立性低血圧とは、立ち上がった際に血圧が大きく低下し、めまいや立ちくらみを引き起こす症状です。パーキンソン病患者の約半分に見られるとされ、特に多系統萎縮症では多くのの患者で認められる重篤な症状です。
排尿障害については、尿意の頻度増加や排尿遅延、尿失禁といった症状が挙げられます。これもまたMSAに顕著であり、前立腺肥大症や膀胱炎と誤診されやすいため、泌尿器科との連携が重要になります。
また、便秘もパーキンソン病で非常に多く見られる症状で、発症の10年以上前からみられるケースもあります。大腸の蠕動運動を司る自律神経の障害が原因で、生活の質に大きく影響するにもかかわらず、患者本人に軽視されがちです。
以下に各疾患と自律神経症状の特徴をまとめた表を示します。
| 疾患名 | 起立性低血圧 | 排尿障害 | 便秘の頻度 | 特徴的な鑑別点 |
| パーキンソン病 | 中等度 | 軽〜中等度 | 高頻度 | 緩徐進行、ドーパミン反応良好 |
| 多系統萎縮症(MSA) | 高頻度 | 高頻度 | 中〜高頻度 | 自律神経障害が初期から顕著 |
| 進行性核上性麻痺(PSP) | 軽度〜中等度 | 軽度 | 中等度 | 自律神経症状は補助的、眼球運動障害が中核 |
このように、起立性低血圧や排尿障害、便秘といった自律神経症状の現れ方には疾患ごとに傾向があります。特にMSAでは自律神経系の異常が他の疾患に比べて早期かつ重度に現れるため、注意深い観察と初期段階での鑑別が極めて重要です。
患者が訴える「立ち上がるとめまいがする」「夜間に何度もトイレに起きる」「便秘薬を何種類も飲んでいるのに改善しない」といった言葉に耳を傾け、これらが神経疾患のサインである可能性を念頭に置く必要があります。
さらに、生活習慣や内服薬、ストレスなどによる一過性の自律神経乱れとの区別をつけるためには、詳細な問診と定量的な検査の導入が求められます。起立試験や膀胱内圧検査、大腸通過時間検査などが診断精度を高めるカギとなります。これらの症状が見られた場合、神経内科専門医への早期受診が推奨されます。
認知機能障害での見分け方
認知症の診断には、症状の現れ方と進行パターンを見極めることが重要です。パーキンソン病に似た病気として、特に注意が必要なのがアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症です。それぞれ発症部位や初期症状が異なるため、適切な鑑別診断が治療方針の決定や生活支援に直結します。
まずアルツハイマー型認知症は、記憶障害を中心に症状が進行するのが特徴です。脳内の海馬や側頭葉に変性が見られ、新しい出来事が記憶できない、道に迷う、会話の内容を忘れるといった典型的な症状が見られます。症状は緩やかに進行し、性格変化や被害妄想なども後期には出現しますが、パーキンソン病のような運動障害は通常見られません。
一方、レビー小体型認知症では認知機能の変動が激しく、幻視や幻聴といった精神症状が早期から現れることが多いです。また、パーキンソン病様の運動症状を伴う点が大きな特徴です。これにより、パーキンソン病との鑑別が必要となります。ドーパミン補充療法に対する反応性が異なり、レビー小体型ではLドパが効きにくいという傾向があります。
さらに前頭側頭型認知症では、記憶障害よりも人格変化や社会的抑制の欠如が早期から見られます。例えば、常識外れの発言や衝動的な行動、食べ物への執着が強くなるなど、家族が日常生活の中で異変を感じることが多いです。また、言語障害や意味の理解の低下が先行するケースもあり、発話内容の変化が鑑別ポイントとなります。
以下に主要な認知症3タイプとパーキンソン病の違いを比較します。
| 病名 | 初期症状 | 運動障害 | 幻視・幻聴 | 認知機能の変動 | 鑑別の決め手 |
| アルツハイマー型認知症 | 記憶障害が中心 | なし | まれ | 少ない | 海馬の萎縮、エピソード記憶の障害 |
| レビー小体型認知症 | 認知の揺らぎ、幻視 | あり | 頻繁 | 明確 | 幻視と運動障害の併存、薬剤反応性 |
| 前頭側頭型認知症 | 社会的行動の障害、言語障害 | なし | なし | 変動少 | 社会性喪失や常同行動、前頭葉萎縮 |
| パーキンソン病(認知症併発) | 動作緩慢、姿勢不安定、軽度の認知障害 | あり | ほとんどなし | 比較的安定 | 運動症状が先行し、記憶障害は軽度 |
こうした違いを踏まえたうえで、画像検査や神経心理検査が診断精度を高めます。MRIではアルツハイマーで海馬萎縮、前頭側頭型では前頭葉・側頭葉の容積減少が顕著に現れます。SPECTやFDG-PETでは血流や代謝の分布異常が鑑別に有効です。
また、認知症の鑑別にはMMSEやMoCA、FABなどのスクリーニングテストを用いた定量評価も重要です。特にレビー小体型では注意力や遂行機能に日内変動があり、1回の検査だけでは評価が難しいため、複数回の実施や家族からの聞き取りが有効です。
こうした多角的なアプローチにより、誤診を防ぎ、患者の生活環境や治療方針の最適化に結びつけることができます。早期からの専門医受診と、必要に応じた神経画像・心理検査の実施が不可欠です。
まとめ
パーキンソン病と似た症状を持つ疾患は数多く存在し、特に進行性核上性麻痺や多系統萎縮症、レビー小体型認知症などは、初期段階での区別が非常に難しいのが実情です。これらはすべて指定難病に分類される疾患であり、病気の進行速度や治療方針も大きく異なるため、誤診による遅れは患者と家族にとって大きな損失となりかねません。
「ただのふるえだと思っていたのに」「病院でパーキンソン病と言われたけど納得できない」
そうした声に寄り添い、症状の違いや進行の仕方、専門医の診療の選び方などを丁寧に解説してきました。記事を通じて、単なる知識ではなく、読者が「自分や家族に必要なアクションとは何か」を見つけ出せたのであれば幸いです。
受診のタイミングを逃さず、信頼できる医療機関に相談することで、進行リスクを最小限に抑えることが可能です。間違った情報に惑わされず、正しい知識と判断で、一歩先の安心を手に入れてください。
医療法人祐希会 嶋田クリニックは、地域密着型の内科クリニックです。パーキンソン病や認知症、頭痛といった疾患に対する専門的な診療をご提供し、患者様一人ひとりに寄り添った医療を心がけています。私たちは最新の医療技術と知識を駆使し、皆様の健康をサポートします。安心してご相談いただける環境を整え、地域の皆様の健康を第一に考えた医療をご提供しております。

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よくある質問
Q. 進行性核上性麻痺とパーキンソン病の違いを見極める決定的な症状はありますか?
A. 両疾患は運動障害や歩行障害といった類似の症状を持ちますが、進行性核上性麻痺では早期に「後方への転倒」「眼球運動の障害(特に上下運動)」が現れる点が特徴です。これに加えて、薬剤への反応が乏しいケースが多く、診断の決定打となります。また、脳内での黒質や線条体の変性パターンにも差異があるため、MRIやDATスキャンといった画像診断が診断に不可欠です。違いを正確に把握することで、誤診リスクを大幅に軽減できます。
Q. 多系統萎縮症の初期症状はどれくらいの期間で進行しますか?また進行速度はパーキンソン病と比べて速いのですか?
A. 多系統萎縮症は発症から約1〜2年で車椅子生活になるケースも珍しくなく、進行速度はパーキンソン病に比べてかなり早いとされています。MSA-P型はパーキンソン病に類似した運動障害、MSA-C型は小脳失調が中心となり、併発型ではそれらが複合的に現れます。ふらつきや排尿障害、便秘といった自律神経症状が早期に出現するため、神経内科での早期受診と的確な鑑別が求められます。特に40代後半から50代にかけての発症が多く、生活環境やストレス要因も関与している可能性があります。
Q. レビー小体型認知症は認知症の中でもどうして誤診されやすいのですか?
A. レビー小体型認知症は、アルツハイマー型や前頭側頭型と症状が重なることが多く、特に初期は「認知機能の変動」や「幻視」「睡眠時の異常行動」が単独で出現するため、うつ病やパーキンソン病と誤診されることがあります。また、ドーパミン治療への過敏反応や副作用が強く出ることも診断を難しくしています。早期のMRIやSPECTによる画像評価、神経心理検査などを組み合わせることで、誤診リスクを減らすことが可能です。特に発症年齢が高齢である場合、家族の気づきと医療機関の情報共有が正しい診断への鍵となります。
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